バーテンダーになりたい!って人、この世の中ではマイノリティなんだと思ふ。それでも、バーテンダーになって活動してゐる人は、実は世の中にたくさんゐるし、みんなそれぞれ別々の道からバーテンダーっていふ生き方にたどり着いたのだと思ふ。斯く言ふ自分はといふと、縁あってバーテンダーといふ生き方にたどり着いた身で、昔から「バーテンダーにオレはなる!」と意気込んだことは一度もない。それでも、バーテンダーを選んで正解だったなと思ってゐるし、こんなにフレキシブルで柔軟性に富んだ職業は稀であって現代の生きにくい社会ではむしろ好都合な職種であると僕は思ってゐる。
もし、あなたが今、バーテンダーになりたいなと思ってゐるなら僕が教へられる、たった1つの大切な、唯一重要なことをここで教へたいと思ふ。
たった1つの大切な教へ
それは、
謙虚であること
バーテンダーの仕事って、端から見れば大胆でかっこよくて攻めてる感じがするけど実はそれは表面上の見えてる部分であって、それを支へてゐるのは繊細で地道な守りの姿勢なんだよね。結果、かっこよく見えるし、結果大胆に攻めてるやうに見えるのだけれど、水面下の地味な作業が実は土台になってバランスを保ってゐる。
そのことを忘れてしまふ、もしくはそのことに気づいてゐないバーテンダーはもはやバーテンダーとは言はない。ただの飲み屋のニィちゃんネェちゃんである。そして、バーテンダーになるために、バーテンダーとして成長していくために、必要な唯一の要素が、謙虚さであると自分は確信してゐる。
謙虚さを忘れた瞬間、バランスが崩れて崩壊しそうになるバーの微妙で絶妙なバランス。
バーテンダーの仕事とは場のコントロールである。
そしてそれは、何のためのコントロールか? それも忘れてはいけない。
僕らはお客さんが少しでも幸せな気分で足を運べるやうに、場をコントロールしなければならない。が、ここにおいても忘れてはいけない、謙虚さを。コントロールできる部分とコントロールできない部分があって、むしろ僕らの仕事は、見ることや聞くことに仕事の殆どを費やしてゐる。6割から7割は見て聞いて情報を仕入れて集めて蓄積する仕事で、他3割ほどで僕らはアクションを起こしてゐる。
バーテンダーとは受けの達人でなければならない。
でなければ、格闘技同様ノック・アウトされてしまふ。
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